「ああ、わかったわ。お母さんはもう少しベッドから起き上がって動かないといけないから、一旦切るわね。明日は自分の携帯から連絡するから」時田秋染はただ、浅子と時央が一緒にいるかどうか確認したかっただけだった。
彼女が今一番心配しているのは、この二人の関係だった。
二人が一緒にいると聞くだけで、彼女は安心できた。
時田浅子はビデオ通話に向かって手を振った。
「浅子、もう遅い時間だから、お前も二階に上がって休みなさい」老人は時田浅子に言った。
時田浅子はうなずいた。「はい、では先に上がります」
時田浅子が去った後、老人は自分の部屋に戻らず、リビングに座って藤原時央を待っていた。
もう10時を過ぎていたので、時央もそろそろ帰ってくるはずだった。
しかし、10時40分になってようやく、藤原時央の車がゆっくりと敷地内に入ってきた。
藤原時央が家に入るとすぐに、老人がリビングに座って、厳しい表情をしているのが見えた。
「どうしてこんなに遅く帰ってきたんだ?」
藤原時央は前に進み、手に持っていた袋をテーブルの上に置き、ソファの一人掛けに座った。
「これは何だ?」老人は好奇心を持って尋ねた。
「僕と浅子のペアパジャマです。白沢清志が着ているのを見て良さそうだったから、僕も一組買ってきました」
「お前が自分で買いに行ったのか?」
「ええ、だから帰りが遅くなりました。浅子はどうしてますか?もう休みに行きましたか?」
「ああ」
「じゃあ、あなたも早く休んでください。僕は二階に上がります」
「座れ!私がお前に行っていいと言ったか?」老人は声を荒げた。
藤原時央は再び座った。どうやら、今回はごまかすわけにはいかないようだ。
「白沢清志に会って何を話した?」
「彼は、次回は必ず浅子を連れて来いと言っていました」
「白沢清志の職場異動については知っているし、京都病院で研究しているプロジェクトについても多少は把握している。聞くが、お前が京都病院の株式を取得したのは、純粋に浅子のためなのか?」
「はい!」藤原時央はためらうことなく答えた。
老人は藤原時央にビジネスの世界に専念してほしいと思っていた。彼の人生が安定したものであってほしかった。