第531章：浅子も藤原さまに誘惑された

時田浅子は手にしたものを藤原時央の顔に投げつけたいと思った。

しかし、彼女にはその勇気がなかった。

部屋に戻ると、藤原時央は時田浅子に言った。「開けて、気に入るかどうか見てみて」

時田浅子：……

彼女が気に入るかどうかは重要ではなく、要は彼が気に入るかどうかでしょう！

「いいえ、私はたくさんパジャマを持っているから、新しいのはとりあえず置いておきましょう」時田浅子は優しく断った。

「見てみるだけで、すぐに着なさいとは言っていない」

すぐに着なくていいの？それなら安心だ。

彼女は慎重に袋を開けた。

藤原時央は時田浅子の表情が少し奇妙なことに気づき、彼女はこれが関係を深めるためのあの種類のものだと思っているのではないかと推測した。

包装を開けると、クリーム色の、ふわふわとしたパジャマが時田浅子の目の前に現れた。

半袖長ズボンタイプで、綿100％、触るととても柔らかく快適だった。

中にはもう一組あり、取り出してみると男性用で、ペアルックだった。

「あぁ、あなたが買ったのはこういうタイプなのね」時田浅子はそれを手に取り、あちこち見て、とても気に入った様子だった。

「君は何を想像していたんだ？」藤原時央は笑いながら聞き返した。

時田浅子の顔は一瞬で赤くなり、急いで言った。「こういうのだと思ってたわ」

「もしかして、君は関係を深めるようなデザインを期待していたのかな？」

時田浅子はもう何も言えなくなった。

彼女の心の内は藤原時央にすべて見透かされていた。

「浅子、君は今のままでも十分魅力的だ。もしそんな服を着たら、私は死んでしまうかもしれない」

時田浅子は、自分が生きた心地がしないだろうと感じた！

「じゃあ買わないで」彼女は頭を振り続けた。「私はこういうのが十分いいと思う」

そう言って、彼女はもう一度パジャマを手に取って自分に合わせてみた。

藤原時央は彼女が気に入ると思っただけだったが、こんなに安価なパジャマが彼女をこれほど喜ばせるとは思っていなかった。

「試着してみるわ」時田浅子はパジャマを持ってバスルームに向かおうとした。

藤原時央はすぐに彼女を引き戻し、パジャマを彼女の肩に当ててみた。

「確かに少し大きいね。試着する必要はない。洗ってから着ればいい」