数人の影がこの方向に歩いてきた。みな五十代を過ぎた男性で、中には髪の毛がすっかり抜け落ち、大きなお腹を突き出している者もいて、一目見ただけで油っこさを感じさせた。
しかし、彼らは皆高級ブランドに身を包み、見たところ、裕福か権力のある人物のようだった。
時田浅子はここに初めて来たが、ここが普通の金持ちが簡単に入れる場所ではないと感じた。
話していた人物は、この一団の中で先頭に立っていた人物だった。
言い終わると、彼の視線は時田浅子の体を上から下まで舐めるように見回した。
時田浅子はその視線に非常に居心地の悪さを感じ、藤原時央の背後に隠れるように下がった。
「おや、これは藤原社長ではありませんか?ここでお会いするとは思いませんでした、光栄です!」その男はすぐに藤原時央に近づき、手を差し出した。
藤原時央は応じず、冷たい表情で、明らかに相手に面子を与えるつもりはなかった。
横山勝雄の表情は少し気まずそうになったが、まだ笑みを浮かべながらも、内心では歯ぎしりしていた。
「藤原社長の周りにはいつも美女が集まりますね。先日も大月結弦のところで美女を救い出していましたが、あの光景は今でも鮮明に覚えています。もうすぐに新しい恋人ができたんですか?」横山勝雄は冗談めかして言った。
藤原時央がまだ答える前に、横山勝雄は振り返って後ろの人たちに言った。「誰が藤原社長は美色に近づかないと言ったのか?藤原社長の心を動かせないのは、まだ美しさが足りないからだ。」
言い終わると、彼の視線は再び時田浅子の体に落ち、少しも遠慮する様子はなかった。
「今日は横山社長にお会いできて珍しいですね。ちょっと腕前を競い合ってみませんか?」藤原時央が突然提案した。
「もちろん、藤原社長がお相手してくださるなら、我々は願ってもないことです。時田浅子さんという美人も連れてきてください。」
「白沢、義姉さんをよく見ていてくれ。」藤原時央は静かに白沢陸に命じた。
この「義姉さん」という言葉に、横山勝雄の表情が凍りついた。
藤原時央は誰を白沢の義姉と呼んだのか?
時田浅子か?
芸能界の小さなインフルエンサーに過ぎない、遊び相手だろう。これは本気になったのか?
しかし彼らのサークルでは、誰もこのような言葉を真に受けない。