第542章:藤原さまを掌握した

時田浅子が振り向くと、白沢陸がゴルフカートを運転して彼女たちの方へ向かってくるのが見えた。

白沢陸は車を運転しながら、心の中で不満を抱いていた。

藤原若旦那は浅子を呼び戻したいくせに、自分では来ない!そして彼に行くように命じる。

ゴルフ場に彼を忘れ去っていたくせに、浅子と宮本凪が一緒にいるとすぐに彼のことを思い出した!

ひどすぎる!

「浅子、ちょうど一杯飲みに行こうと思ってたところだよ。ちょうど君を見かけたから、乗せていこうか?」白沢陸は笑顔で時田浅子に尋ねた。

時田浅子と宮本凪の話もほぼ終わっていたし、これ以上いても気まずいだけだった。彼女は白沢陸に頷いた。

「ちょうど私たちもそっちに行くところだったから、便乗させてもらうわ」

「乗って!」白沢陸は二人に手を振った。

時田浅子は助手席に、宮本凪は後部座席に座った。

白沢陸は二人を乗せて、藤原時央の前まで連れて行った。

宮本凪は車から降りると、皆に別れを告げた。

「今日は本当に暑いね、中に入って何か飲もうよ!」白沢陸が提案した。

「俺たちはもう飲んだ。お前だけ行け、俺のカードを使え」藤原時央はそう言うと、帽子を取って時田浅子にかぶせてやった。

白沢陸:……

「藤原時央、今日は付き合おうが付き合うまいが、付き合ってもらうぞ!さもないと、覚悟しろよ!」白沢陸は脅すような表情で藤原時央を見つめた。

彼のスマホには、藤原時央が発狂している動画があるのだ。

それは愛に苦しんで発狂した藤原時央なのだ!

「何を飲む?テイクアウトしてやる。まだ日が高いうちに、少しゴルフをしよう」藤原時央は一歩譲った。

白沢陸の顔にはすぐに嬉しそうな笑みが浮かんだ。「ラテ、ありがとう!」

藤原時央は本当に白沢陸のために飲み物を買いに入っていった。

時田浅子はちょっと驚いた。

正直言って、彼女が白沢陸を知っている間ずっと、白沢陸は藤原時央にいじめられてきたのを見てきた。

どうして今日の白沢陸はこんなに強気なんだろう?まるで立場が逆転したみたい?

もしかして、藤原時央の何か弱みを白沢陸が握っているのか?どんな弱みなら藤原時央をコントロールできるんだろう!

「浅子、今日の藤原若旦那がいつもと違うって不思議に思ってる?」白沢陸は得意げな表情で時田浅子に尋ねた。

「うん」時田浅子はすぐに頷いた。