宮本凪はすぐに心が痛んだ。「いつから始まったの?私が海外に行った時、まだこんな状態じゃなかったよね。」
「母が私を連れて林家を離れた後に起きたことよ。」時田浅子はそれだけで話を終えた。
「ストレス反応は何か強い刺激を受けないと生じないものだ。しかも、受けた刺激が強ければ強いほど、ストレス反応も強くなる!浅子、教えてくれないか、一体何があったんだ?」宮本凪は少し興奮して、時田浅子の過去を切実に知りたがった。
「そんなことはもう過去のことよ。蒸し返しても意味がないわ。」
宮本凪はようやく気づいた。自分の行動が時田浅子の傷口を開けることになっていたのだ。「ごめん、しつこく聞くべきじゃなかった。」
「宮本凪、あなたは私に謝ることなんて何もないわ。だから、いつも私に対して罪悪感を持っているような顔をしないで。私は本当にあなたに感謝しているの。」
「いや!浅子、君は私がどれほど罪悪感を抱いているか分からないんだ!あの時、私が海外に行かなければ、絶対に君をあんなに苦しませることはなかった!」宮本凪の心には、確かに手放せない執念があった。
「宮本凪、もしあなたが海外に行かなかったら、どうやってこんなに素晴らしい薬を開発できたの?」時田浅子は静かに問い返した。
宮本凪は口を開きかけたが、反論できなかった。
「人生は予測できないものよ。自分の人生さえ思い通りにならないのに、まして他人の人生に干渉できるわけがないでしょう?私たちにできることは、前を向いて、前に進むことだけ。そうじゃない?」
宮本凪の心は複雑な感情で満ちていた。
前を向いて、前に進む……もし彼が彼女と肩を並べて前に進めたらどんなに良いだろう。
「浅子、君と斉藤若春の間に何かあったのか?」宮本凪は自分の疑問を口にした。
「彼女についてどんな印象を持っているの?」
「彼女とはあまり親しくないんだ。最近、彼女が投資家の代表として私を訪ねてきて、少し付き合いが増えただけだ。それに、彼女も京都病院の薬物導入協力を実現させようと一生懸命だった。彼女がいなければ、私はもっと苦労していただろうし、最終的には失敗していたかもしれない。」
「彼女がこのことを強く推し進めたのは、藤原時央のためでしょうね。」