時田浅子はまだ少し躊躇していたが、藤原時央はすでに彼女の手を引いて別の方向へ歩き始めていた。
「行こう、他の場所も見て回ろう」
水族エリアを過ぎると、植物エリアがあった。
小さな花木市場のように、室内植物ばかりが並んでいた。
「時央、あなたの家に植物を買って置きましょうか?」
「いいよ、君が好きなものを選んで」藤原時央はもちろん願ってもないことだった。
時田浅子も今は気持ちが楽になっていた。主に藤原時央の家のインテリアスタイルがあまりにも冷たく暗く、人の温もりがないと思ったからだ。
観葉植物を加えれば、きっと生気が増し、部屋の雰囲気が良くなるだろう。
時田浅子は真剣に選び始め、観葉植物だけでなく、花もいくつか購入した。
藤原時央はソファに座り、時田浅子が選ぶ様子を見ていた。
今日の彼女はふくらはぎまでの長さのワンピースに、小さなカーディガンを羽織っていて、優しく可愛らしく見え、緑の植物の中に立つと、まるで森から飛び出してきた小さな妖精のようだった。
藤原時央はスマホを取り出し、こっそりと時田浅子の写真を数枚撮った。
彼のアルバムを開くと、すでに時田浅子の写真でいっぱいで、ほぼ彼のスマホのメモリを占めていた。
スマホのメモリがもうすぐなくなることを考えると、藤原時央は突然、もう一台スマホを買わなければならないと思った。
時田浅子と同じモデルのものを。
前回、彼女のスマホが壊れた時、彼は買い替えたが、自分用に一台買うことを忘れていた。
主に、スマホのメモリがこんなに持たないとは思っていなかった。
時田浅子は観葉植物を選び、藤原時央の方へ歩いてきた。「時央、もう他に買うものはないでしょう?」
「今日はこれくらいでいいよ。後で何か足りないものがあれば、また買いに来よう」藤原時央は前に進み、自然に時田浅子の手を取った。「こんなに歩き回ったけど、お腹すいた?何か食べる?」
「水が飲みたいな、それとアイスクリームを買いましょう。他のものは要らないわ。たくさん食材を買ったから、帰って料理して食べましょう」
「いいよ」藤原時央は彼女の手を引いて別の方向へ歩いていった。
再び食品エリアに戻った。
時田浅子はまず水を一本取った。
「コードをスキャンすれば、そのまま飲めるよ」