「おばさま、浅子は実は藤原時央のことが好きではないんです。時央が彼女につきまとっているだけなんです」
「浅子が時央を好きじゃないって、誰が言ったの?浅子が直接あなたに言ったの?」
「いいえ、まだ」宮本凪は首を振った。
「私の体はいつまで持つかわからないから、私の最大の願いは浅子が良い居場所を見つけることなの。今、その願いも叶ったわ」
「浅子が藤原時央と結婚することを、本当にそんなに安心しているんですか?」宮本凪は思わず尋ねた。
もし、時田お母さんがそれほど藤原時央を気に入っているなら、自分にはもう何のチャンスもないのだろうか?
「宮本君、女の子が嫁ぐとき、その男性が彼女に幸せな生活を与えられるかどうかだけでなく、その男性の家族も見なければならないの。藤原家は浅子をとても大切にしてくれる。私という母親が考えるよりもずっと行き届いているわ。浅子が時央と結婚することは、私は本当に安心しているの」