「電話して聞いてみなければ、彼が暇かどうかわからないじゃないか?」藤原時央はさらに尋ねた。
「こんな遅い時間だから、もう食事を済ませているかもしれない」
「元カノが現カノに会うのが気まずいのか?」
「何の現カノ?何の元カノ?誰が元カノで、誰が現カノなの?」時田浅子は立て続けに質問した。
「俺はまだ元カノなのか?」
「あなたは私の現カノでもないし、宮本凪も私の元カノじゃない!」時田浅子は怒って返した。
藤原時央は胸が詰まる思いがした。「俺は現カノじゃない?」
彼の視線に直面して、時田浅子は思わず唾を飲み込み、口に出かかった言葉も飲み込んだ。
彼女はもう何も言わず、藤原時央の気持ちも少し落ち着いた。
「宮本凪を食事に誘って、明日のお母さんのことは俺が解決する」
「藤原時央、この二つの件に何の関係があるの?私たち二人のことに宮本凪を巻き込まないで」時田浅子はどうしても理解できなかった、藤原時央がこうする意味は一体何なのか?
「わかった、じゃあ明日は自分で解決してくれ」
時田浅子はむっとした。
「ただの食事だけ?」彼女は藤原時央に確認した。
「ただの食事だけだ」藤原時央はうなずいた。
「わかった、電話する」時田浅子は携帯を取り出し、宮本凪に電話をかけた。
宮本凪はちょうど斉藤若春と一緒にいて、着信表示を見ると目に喜びの色が浮かんだ。彼はすぐに電話に出た。
「浅子、何かあったの?」
「私...あの、もう食事した?」時田浅子は少し気まずそうに尋ねた。
「まだだよ」宮本凪と斉藤若春はちょうど席に着いたところで、まだ注文していなかった。
時田浅子が食事について尋ねてきたのは、一緒に食事をしたいということだろうか?
だから宮本凪はまだ食べていないと言って、時田浅子の反応を待っていた。
「実はね、私と時央があなたを食事に誘いたいんだけど、時間ある?」時田浅子は静かに尋ねた。
宮本凪の笑顔は一瞬で凍りついた。すべての期待も藤原時央の名前を聞いた瞬間に薄れていった。
宮本凪の向かいに座っていた斉藤若春は電話の様子をずっと聞いていて、藤原時央の名前も聞こえた。