宮本凪は斉藤若春を呼び止めようとしたが、我慢した。
彼は斉藤若春を信じていなかったので、自分で調査することに決めた。
斉藤若春は目的を達成したので、宮本凪とこれ以上話す気はなかった。
白川健斗はずっと宮本凪と協力関係を結びたいと思っていたが、それは藤原時央を治療するためだった。彼女は藤原時央の現在の状態を確認できていなかった。
彼女が知っているのは、藤原時央が目覚めた後も、身体の状態が完全に回復していないということだけだった。
宮本凪が調べる気になれば、必ず真実を突き止められるだろう。
宮本凪が真実を突き止め、藤原時央の心理的疾患について知った後も、藤原時央が本当に時田浅子を愛しているから彼女と一緒にいるのだと信じるだろうか?
藤原時央自身も、時田浅子に対する感情が本当に愛なのかどうか、はっきりとは言えないだろう。
彼女は信じていなかった。藤原時央のような性格の人間が、一人の女性をそれほど愛することができるとは。
彼女が5年もの時間をかけても動かすことができなかった男性を、時田浅子はどんな魅力で、わずか数ヶ月で動かすことができたというのか?
だから彼女はずっと、藤原時央が時田浅子と一緒にいるのは、身体的な理由からだと考えていた!
彼女の最終的な目的は、やはり宮本凪と協力して、本当に藤原時央を治療できれば、藤原時央の時田浅子への依存を解消することでもあった。
そうなれば、藤原時央は自然と、何が病的な依存で、何が本当の感情なのかを区別できるようになるだろう!
当事者である時田浅子がこの事実を知ったら、どう思うだろうか?
斉藤若春はそれを非常に楽しみにしていた!
今日、時田浅子が彼女の前で愛を見せびらかしたのなら、将来はどれほど恥をかくことになるだろう!
……
車は帰り道を走っていた。鈴木真弦はこの食事の後に嵐が来ることを予測していた。
しかし、彼の想像以上に深刻な状況だった。
今、車内の雰囲気は修羅場と言っても過言ではなかった。
二人はそれぞれ心に思うところがあるようだったが、一言も交わそうとしなかった。
彼は口を開いて雰囲気を和らげようとしたが、恐れを感じて結局我慢し、無意識のうちに車のスピードを少し上げた。
早く藤原社長と奥様を家に送り届ければ、早く解放されるだろう。