大木嵐は時田秋染を彼女のために用意された住まいへと案内した。
それは裏庭に特別に用意された、独立した静かな部屋で、裏庭に直接通じていた。
彼女の世話をする介護士は隣の部屋に住んでいた。
老人は彼女のための手配を、細部に至るまで、行き届いたものにしていた。
「ありがとう、大木嵐さん。あなたと老人は本当に気配りが行き届いているわ」時田秋染は心から感謝した。
「もう家族なんだから、これからはそんな遠慮はいらないわ。私たちの知り合いの期間は短いけれど、あなたの性格はよく分かっているわ。決して人に頼ったり、迷惑をかけたりするタイプではないでしょう。ここに住むことに同意したのも、浅子のことを考えてのことね」
時田秋染の心の内は、大木嵐に完全に見透かされていた。
「前回の出来事は、きっと浅子の心に大きな影を落としたわ。あの子はすべての過ちを自分のせいにしてしまう。私は手術を受けたけれど、生きていても彼女の重荷になるだけ。できるだけ浅子に迷惑をかけないようにするしかないわ」