第679章：私はあなたを支えるだけでなく、あなたのために腰を折ることもできる

「私、会社の経営なんてできないわ！」時田浅子はさらに慌てた。

「経営者を雇うから、君は報告を聞くだけでいい。でも、怠けるわけにはいかないよ。経営を学んでおくんだ。将来、もっと大きな事業を任せることになるからね」藤原時央は将来の計画を立てていた。

「うまくできるか心配です」

「君ならきっとできる。アシスタントが教えられなければ、私が直接教えよう」藤原時央は笑いながら言った。

時田浅子は頭を下げ、手元の書類に目を通した。

「これらは私がサインするだけでいいの？」

「ああ」藤原時央はペンのキャップを外し、時田浅子に手渡した。

時田浅子はそれらの書類に自分の名前を署名した。

鈴木真弦はすぐに書類を受け取り、静かに退出した。「藤原社長、奥様、残りの手続きを処理してきます」

時田浅子はまだペンをしっかりと握りしめていた。これらすべてが夢のようだった。

「昨日、家の処分について話していたよね？不動産屋から連絡があった。サインをしに行こう。残りの手続きは江川楓に任せよう」

「こんなに早く？家にはまだ私と母の荷物があるのに」

「今日行って、全部持ち帰ろう」

「全部手配済みなの？実際、私は何も心配する必要がなくて、あなたのそばにいるだけで、すべてが手に入るってこと？」

藤原時央は微笑んで尋ね返した。「そうでなければ、なぜ私がわざわざここまで来ると思う？」

「あなたは藤原時央よ。堂々たる藤原グループの社長が、わざわざ雲都までこんな些細なことを処理しに来るなんて。誰かに知られたら、驚いて顎が外れちゃうわ」

「君のことは、私にとってすべて重要なことだ。何よりも大切なんだ」

時田浅子の心は温かくなり、彼の胸に寄り添った。「時央、ありがとう」

「本当に感謝したいなら、今夜まで取っておいて、行動で示してくれ」

時田浅子は顔を赤らめてうなずいた。

藤原時央の笑みが瞬時に目元に広がった。

「行こうか。車で何時間もかかるから、今夜早く帰れるようにしよう」藤原時央は時田浅子を抱きながら外へ向かった。

車が正門に到着したとき、時田浅子は林聡明の姿を見かけた。

しかし、彼女は車を止めず、林聡明のそばを通り過ぎた。

藤原時央も林聡明を見かけた。彼は時田浅子の気持ちが影響を受けることを心配し、彼女の手を握った。

「どうして黙っているの？」