「そうだと思った。あなたは田舎から来た野良女で、貧乏くさくて仕方がないのに、今じゃ偉そうな態度を取るなんて。きっと金づるを見つけたのね」
藤原昭子は唇を押さえて微笑み、得意げに久保誠也を見ながら問いただした。「久保監督、あなたもそれなりに有名な方なのに、どうしてこんな体を売って出世した女と一緒にいるんですか?」
藤原昭子の言葉を聞いて、久保誠也の顔は完全に曇った。怒鳴って言った。「藤原昭子、何を言い出すんだ!」
「私が言い出す?まあ、ホテルの入り口での写真も撮られているのに、世界中の人が目が見えないとでも思っているの?その写真が見えないとでも?」
藤原昭子は腕を組み、久保誠也の後ろにある看板に目を向けた。そこには『スターロード』という作品名が書かれていた。「新人が、デビューしたばかりで主役を演じるなんて、枕営業なしでそんなことがあり得るわけないでしょう?」
「でたらめを言うな。私、久保誠也が選んだ役者は、必ず最も優秀な人物だ!」久保誠也は顔を真っ赤にした。彼は常に潔癖で、枕営業で出世した女優など起用するはずがなかった。
「芸能界というのは、地道に這い上がるか、枕営業で出世するかのどちらかよ」
藤原昭子は島田香織の前に歩み寄り、その顔をじろじろと見ながら笑って言った。「島田さん、私の服とバッグ、合計で3万円だけど、もう請求しないわ。どうせあなたなら簡単にそれくらい出せるでしょうから。今日は若くて有能な金づるを見つけたことをお祝いするわ!」
「パシッ!」
島田香織は躊躇なく藤原昭子の頬を平手打ちし、笑顔を浮かべながら言った。「弁償金が要らないというなら、私も払わないわ。あなたが『刀と影』の現場を訪ねたがっているって聞いたけど、残念ながら、撮影現場への立ち入りはお断りよ!」
実は以前撮影していた時、島田香織は藤原昭子が塩谷麻衣を追いかけて『刀と影』の撮影現場に通っているという噂を聞いていた。
「どういう意味?」藤原昭子は険しい表情で島田香織を見つめた。
島田香織は藤原昭子の耳元に近づき、声を潜めて言った。「別に深い意味はないわ。そうそう、塩谷麻衣はこの先一生あなたとは付き合わないでしょうね」
塩谷麻衣はスターキングエンタテインメント所属のタレントだ。島田香織が一言言えば、彼は絶対に藤原昭子と関わろうとはしないだろう。