林芳子と千田連歌は「あなたのファンはみんな過激なファンよ!」と言った。
彼女たちも島田香織の過激なファンを見てきた。本当に何でも罵るのだ。彼女たちが最も感心したのは、島田香織がコメント欄を閉鎖せず、好き放題に荒らされるままにしていることだった。
「でも、あなたたち広告料を払わないといけないわね」島田香織は真面目な顔で言った。「私は悪徳商人じゃないから、一人30万円でいいわ!」
林芳子と千田連歌は心の中で島田香織を散々罵ったが、二人とも声に出して言う勇気はなかった。
「もしこれを公開したくないなら、簡単よ。謝罪した上で、精神的損害賠償金も払って」島田香織は真剣に考えて言った。「そんなに多くは要求しないわ。一人50万円でいいわ」
林芳子と千田連歌は口を揃えて「申し訳ありません!」と言った。
二人は不本意ながら島田香織にお金を振り込んだ。島田香織は入金された100万円を見て、にこにこしながら言った。「お二人とも安心してください。今のところ、あなたたちをデビューさせる気はないわ!」
島田香織はドレスショップを出た。店内にはもう良いドレスがなかったので、陣内美念のところに新作ドレスがないか見に行くことにした。
島田香織が出て行くと、藤原航が男性用の試着室から出てきた。彼は島田香織の後ろ姿を見つめ、その後、傍らで島田香織の悪口を言っている林芳子と千田連歌に視線を向けた。
林芳子と千田連歌は島田香織が去ったと思い、好き勝手に彼女の悪口を言えると思っていたが、まさか藤原航がここにいるとは思わなかった。
二人は藤原航の冷たい視線と目が合うと、思わず身震いした。藤原航が去るまで、二人は我に返ることができなかった。
林芳子は唇を噛んで、震える声で尋ねた。「ねえ、藤原航は島田香織のことが好きなのかしら?」
千田連歌はまだ頭が混乱していたが、林芳子の言葉を聞いて、躊躇いながら言った。「好きじゃないんじゃない?」
「もし島田香織のことが好きじゃないなら、どうして私たちをにらむの?」林芳子は千田連歌の方を向いて言った。
千田連歌はもごもごと言葉を濁し、何も言えなかった。
島田香織は陣内美念のところでも適当なドレスを見つけることができず、どうしようもなければ明日会社で探すしかないと思った。今回のパーティーは本当に急だった。