046 法外な要求

「値段?」島田香織は足を下ろして笑いながら、体を少し前に傾け、ずる賢い表情で藤原おじいさんを見つめて尋ねた。「私の会社はいくらの価値があると思いますか?」

藤原おじいさんは一瞬戸惑った。スターキングエンタテインメントは新しい芸能事務所だが、所属タレントの演技力は素晴らしく、会社の作品は全て高品質で、少なくとも数百億円の価値はある!

「藤原家はお金持ちですよね」島田香織は顔の横の髪を耳の後ろに掻き上げ、藤原おじいさんの表情が良くないのを見て続けた。「こうしましょう。私も欲張りませんから、スターキングエンタテインメントの100倍の価値をくれれば良いです」

お金を断るのは馬鹿者だ。島田香織がお金を拒むはずがない。

藤原おじいさんは怒りで髭を震わせ、目を見開いて荒い息を吐きながら黙り込み、杖を握る手に更に力を込めた。

「島田香織さん、早く『月光の女神』のドレスを返してください。それに、SNSであなたが私のドレスを盗んだことを釈明してください。さもないと容赦しませんよ!」藤原昭子の頭の中はそのドレスのことでいっぱいだった。彼女の欲しい物は、絶対に他人には渡さない。

島田香織は立ち上がり、立っている奈奈さんに向かって言った。「奈奈さん、お客様をお見送りして」

藤原昭子は島田香織に手を出そうとしたが、ドアの外から女性が入ってくるのを見て、不本意ながら席に戻った。

「法外な要求だな。自分がそれほどの価値があると思っているのか?」藤原おじいさんは島田香織の顔を見つめ、陰気な表情で詰問した。「藤原航から離れる気がないなら、これからは私も容赦しないぞ!」

藤原おじいさんはそれだけの金額を用意できるが、それは藤原家の根幹を揺るがすことになる。だから、島田香織にそれほどの金額を渡すことは絶対にできない!

藤原おじいさんは自ら訪れたことで島田香織に面子を立てたつもりだったが、まさか島田香織が忠告を聞き入れず、さらに不快な言葉を吐くとは。もう彼女に優しくする必要はないようだ。

島田香織は笑みを浮かべ、横にいる奈奈さんの方を向いて言った。「警備員を呼んでください。ここに二人の厄介者がいます」