翌日の午後、島田香織は会社で台本を読んでいた。今や彼女は人気者で、多くの広告やドラマのオファーが来ていた。
島田香織の評判は良くなかったが、広告や台本の選択には慎重だった。彼女は人気タレントではなく、女優として生きていきたかった。
そのとき、奈奈さんから電話があり、藤原おじいさんが彼女を訪ねてきたと聞いて、最初は聞き間違いかと思った。電話で奈奈さんが繰り返したとき、やっと聞き間違いではないと分かった。
彼女は藤原のじじいに会いたくなかったが、すでに会社に来ていたので、仕方なく会うことにした。
藤原航との離婚後、島田香織は藤原おじいさんに会っていなかった。
以前藤原家にいた時、藤原航の母親以外の藤原家の人々は、みな彼女に嫌がらせをしていた。
義理の妹の藤原昭子は言うまでもなく、昭子の言葉によれば、二番目の兄がどんなに悪くても、田舎出身の素性の知れない女と結婚するはずがない、と。