067 藤原航の彼女?

島田香織がまだ近づく前に、陣内美念からSNSのリンクが送られてきた。

大晦日の夜、藤原航と島田香織が一緒にレッドカーペットに登場し、昨日藤原航が謎の女性とショッピングモールを歩いている写真が話題になり、多くの人がその女性は藤原航の新しい恋人に違いないと噂していた。

写真には藤原航とその女性の後ろ姿しか写っていなかった。

コメント欄は大荒れだった。

「まさか藤原社長が二股をかけているなんて!」

「上のコメント主、その汚い口を閉じなさい。藤原社長と島田香織はただのビジネス上の協力でレッドカーペットを歩いただけよ。この女性こそが藤原社長の本命なの」

「島田香織、あなたの好きな男性にまた別の女性ができたわよ。権利を主張しに行かないの?」

「島田香織、早く権利を主張して!」

「林杏、早く出てきなさい。出てこないと、あなたの義理の弟が他の女と逃げちゃうわよ!」

……

島田香織は黙ってSNSを閉じ、LINEに戻って陣内美念にメッセージを送った。「彼が誰と付き合おうと、私には関係ないわ」

陣内美念:「私はただ、藤原航というクズ男に騙されないでって言いたいだけよ!」

島田香織は携帯をポケットに入れ、藤原航と陸田健児の側に歩み寄り、挨拶をした後、藤原航を探るように見つめて尋ねた。「藤原社長がどうしてここにいらっしゃったんですか?」

藤原航は意味深げに陸田健児を見つめ、最後に島田香織の顔に視線を移して言った。「新しいバラエティ番組があって、あなたたち二人にこのドラマを撮り終わった後に出演してもらい、その後『戦神』の撮影に入ってもらおうと思って」

島田香織は礼儀正しく微笑んで言った。「では、藤原社長、後ほどバラエティ番組の資料を送っていただけますか」

藤原航は冷たい表情で「ああ」と答え、踵を返して立ち去った。

島田香織は藤原航の去っていく後ろ姿を見つめ、困惑した表情を浮かべた。

一日中撮影をした後、島田香織は帰り際に陣内美念から誘いを受け、車を走らせて西洋料理店へ向かった。

「久しぶりにここで食事するわね」陣内美念は窓際の席に座り、外の往来を眺めながら感慨深げに言った。

「本当に久しぶりね」島田香織は同意した。彼女は以前ここが大好きだったが、藤原家に嫁いでからは一度も来ていなかった。