073 眠くなった

ハリウッドには美しくて演技の上手な女優が数多くいて、クラウスに憧れる女優も数え切れないほどいるが、クラウスには魂の共鳴を感じる女優が一人もいなかった。

島田香織とクラウスの席は隣り合っていなかったので、入場後、二人は別々の席に座った。

島田香織が座ったばかりの時、二人の若い白人のイケメンが近づいてきて、飲み物や服を届けてくれた。彼女の体調を気遣った後、島田香織が呆然としている表情のまま去っていった。

Z国の生配信では当然、島田香織を中心に撮影していた。視聴者たちは彼女のぼんやりした様子を見て、思わず冗談を言い始めた。

「島田香織、呆然としてる。まさか自分のファンだって分かってないんじゃない?」

「島田香織の待遇、まさに女神様だね!」

「島田香織、すごく天然だね。こんな性格だとは思わなかった、可愛い!」