072 レッドカーペット

島田香織は陣内美念の言葉を聞いて頭が痛くなり、呆れた表情で言った。「そんな態度を取らないでよ。知らない人が見たら、私が結婚に必死なんだと思うじゃない!」

陣内美念は心配そうな表情で島田香織を見つめた。彼女は島田香織に彼氏を紹介したくはなかったが、島田香織と藤原航が付き合うことを心配していた。特に渡辺能野から藤原航が島田香織のことを好きかもしれないと聞いたばかりだった。

親友が再び藤原航の腕の中に飛び込むのを、黙って見ているわけにはいかない!

島田香織は陣内美念がまだ疑わしげな様子を見せているのを見て、冷ややかに言った。「前の結婚で一つのことを学んだわ。」

陣内美念は我に返り、好奇心を持って島田香織を見つめた。

「押しつけがましい結婚では幸せは得られないのよ」島田香織は今まで藤原航のことを話したがらなかった。それは彼女が藤原航のことを忘れられないからではなく、自分が愚かだったと感じていたからだ。ソファに座り、陣内美念を見つめながら、しみじみと語った。「最初の頃は私に対して良い態度だったけど、後になって変わってしまったの。」

陣内美念は姿勢を正し、島田香織の手を握りながら優しく言った。「もう悲しまないで。私がずっとそばにいるから。」

「美念、私はもう彼のことが好きじゃないの。だから仲人役はもうやめて。これ以上続けられたら、私、男性と話すのも気まずくなっちゃうわ。」島田香織は笑いながら言った。

陣内美念:……

島田香織と陣内美念は直接海外に飛び、久保誠也のアシスタントが出迎えた。久保誠也のアシスタントの手配で、二人は三日間遊び、その後授賞式に参加することになっていた。

島田香織は会社が特別に用意した「夏日」というドレスを着ていた。本来は久保誠也とレッドカーペットを歩くはずだったが、どういうわけかハリウッドの男優が近づいてきて、彼女と一緒にレッドカーペットを歩きたいと言い出した。

島田香織はこの男優が誰なのか分からなかったが、久保誠也の紹介で、前回のアカデミー賞主演男優賞を受賞したクラウスだと知った。

島田香織はクラウスと少し言葉を交わした後、彼の腕を取ってレッドカーペットへと向かった。

ハリウッドの記者たちは異常な興奮状態だった!

彼らは皆、島田香織に注目していた!

クラウスがZ国の女優をパートナーとして選ぶとは、誰も予想していなかった。