人が多いからこそ賑やかなんだ!
陸田健児一人だけでは、芸能記者たちもスクープを撮れないだろう。
藤原航は記者たちに囲まれている陸田健児を見つめ、静かに視線を外して言った。「面白い展開はなさそうだな。どこかで食事でもしよう」
「お腹すいてないよ」渡辺能野は知り合いの芸能記者にメッセージを送り、顔を上げて藤原航を見た。「島田香織がどう言うか気にならない?」
「彼女の態度は明らかだろう。何を気にすることがある?」藤原航は冷たく言い、渡辺能野がスマホを見つめているのを見て、「今夜まだ会議があるんだ。君はここで待っていてくれ。私は先に戻るよ」
渡辺能野が何か言おうとした時、スマホが突然振動し、芸能記者の芳からメッセージが届いた。
「島田香織は見当たりません」
渡辺能野は島田香織が先に車から降りたことを確信していたが、彼女がどうやって誰にも気付かれずにホテルに入ったのか理解できなかった。