093 また病気になった

「いいえ」藤原航は力なく言い、林楠見に胃薬を渡すように合図した。胃薬を飲んだ後、体は少し楽になった。

彼は林楠見が持ってきた朝食を見つめた。島田香織と一緒にいた頃、彼女は毎日朝食を食べるようにメールで知らせてくれていた。

林楠見はゴシップ記事を書いたメディア各社の名前を藤原航に伝えた。

「全て買収しろ」藤原航は冷たく命令した。これらのメディアは命が惜しくないようだ。

藤原航は林楠見に下がるように言い、パソコンを開くと、匿名のファイルが彼のメールボックスに届いているのを見つけた。

これは3年前のあの夜の調査結果だったのか？

藤原航は誰が送ってきたのか分からなかったが、素早く目を通し、すぐに全ての内容を読み終えた。

読み終えると、彼の表情は完全に暗くなった。

やはり、彼が当初予想した通り、誰かが島田香織を陥れたのだ。彼女も被害者だったのだ！

藤原航は長い指でテーブルを軽く叩いていた。心が乱れる時はいつもこうするのだ。薄い唇が冷たい弧を描き、背後で暗躍している者が誰なのか見てやろうと思った。

……

島田香織が目を覚ますと、頭がぼんやりとしていて、ぼやけた視界の中に陣内美念の心配そうな顔が見えた。

「香織」陣内美念は島田香織が目を覚ましたのを見て、心配そうに尋ねた。「大丈夫？まだ具合悪い？」

陣内美念の言葉を聞いて、島田香織はようやく夢を見ていたわけではないと気付き、「大丈夫」と言った。

声がかすれ、喉が痛くてたまらなかった。

「よかった。動かないでね、点滴中だから」陣内美念は島田香織の点滴している手を握りながら、小声で言った。「もう、具合が悪いなら早く私に言ってよ。一人で我慢することないでしょう。今日美容院に行く約束してなかったら、あなたが病気だって気付かなかったわ」

島田香織は陣内美念の言葉を聞きながら、何か言おうとしたが、まぶたが重くて、うとうとと眠りに落ちてしまった。

おそらく夢の中で、島田香織はまた藤原航を見た。

「また病気になったのか？」

藤原航はベッドの横に座り、表情は穏やかで、何を考えているのか誰にも分からなかった。

島田香織は藤原航を追い払おうとしたが、一言も言葉が出なかった。すると藤原航は薬を取り出し、直接彼女の口に入れた。

島田香織は仕方なく薬を飲み、口の中の苦みが明らかで、眉をひそめた。