陣内美念は慌てて追いかけ、ドアを閉めるのも忘れずに、島田香織が陸田健児の話をしたくないのを知って、話題を変え、興奮した表情で言った。「いいニュースがあるわ。藤原のじじいが怒りで入院したのよ!」
島田香織は横目で陣内美念を見て、思わず口角を上げて言った。「今知ったわ」
「藤原おじいさんは絶対に林桃子を藤原家に入れることを認めないわ!」陣内美念は得意げに言った。「彼女は姉と同じよ。偽善的な白蓮の花!」
「それはどうかしら」島田香織の顔から笑みが消え、藤原航のことを思い出すと、心の奥が痛んだ。「藤原航が望めば、林桃子は必ず晴れやかに藤原家に入れるわ!」
陣内美念の笑顔が凍りついた。彼女は心配そうに島田香織を見つめた。
島田香織の言う通りだった。藤原航は藤原家で大きな発言権を持っていて、藤原航が望めば、他の家族も何も言えない。唯一厄介なのは藤原おじいさんだけだった。