118 付きまとう悪霊

島田香織が目を覚ましたとき、空はまだ曇っていたが、カーテンを開けると、外は陽光が眩しかった。

今日から旅行バラエティ番組の撮影が始まる。彼女は薄めのナチュラルメイクをし、上は白いTシャツにデニムジャケット、下は黒のジーンズを履き、スニーカーを履いて、髪を高く結んでいた。見た目は18歳くらいにしか見えなかった。

支度を済ませたところでドアベルが鳴り、島田香織がドアを開けると、スーツ姿の奈奈さんが立っていた。

奈奈さんは島田香織の装いを見て、満足げに頷いた。以前、島田香織は映画で落ち着いた冷静な女性主人公を演じていたが、今回はフレッシュで活発なイメージでカメラの前に登場することで、大衆の島田香織に対する印象を変えることができる。

「荷物は準備できた？」奈奈さんは島田香織に微笑みかけ、気遣うように尋ねた。

「今、片付けているところ」島田香織は言いながら中へ歩いていき、クローゼットに向かって、カジュアルな服を何着か取り出し、スーツケースに詰め込んだ。さらに常備薬を救急箱に入れ、手際よくスーツケースのジッパーを閉めて、「できた」と言った。

旅行バラエティ番組の第一回は5日間の収録で、島田香織が番組スタッフの元に到着したとき、見覚えのある顔は陸田健児だけだった。

陸田健児は一人で気高く冷たい雰囲気を漂わせながら座っており、他のスターたちとは明らかに違和感があった。

島田香織が現れた瞬間、彼の目が輝き、彼女の方へ歩み寄った。

この旅行バラエティ番組は生放送で、陸田健児の配信ルームにいたファンたちは、彼の目の表情が変化したのを見て、コメント欄は「ときめいた」で埋め尽くされた。

ファンたちが陸田健児が積極的に島田香織に近づいていくのを見たとき、コメント欄には不協和音が響き始めた。

一部のファンは陸田健児と島田香織がカップル設定になることに嫉妬して罵り始め、もう一部のファンは二人が甘く幸せになることを願っていた。

藤原グループ。

藤原航はオフィスで書類を見ていたとき、携帯のアラームが鳴った。アラームを切り、慣れた手つきで「世界一周の旅」の島田香織の配信ルームを開いた。コメント欄では島田香織の美しさを褒めるコメントは少数で、大半は彼女を罵るものだった。