島田香織が夜に家に帰ってきたとき、陣内美念が向かいの部屋から出てきて、にこにこと島田香織を見つめていた。
島田香織は彼女の表情を見て、陣内美念が結果を突き止めたことを悟った。
彼女は玄関でスリッパに履き替え、だるそうにリビングへ向かいながら、さりげなく尋ねた。「何か分かったの?」
陣内美念も靴を履き替えて後について入ってきた。彼女は島田香織の家を自分の家のように使い慣れていて、これ以上ないほど馴染んでいた。ソファーにお尻を下ろすと、口を開いた。「重大な発見があったの」
島田香織は興味深そうに陣内美念を見つめ、ソファーに座って自分の分の水を注いだ。
「富田悠太の妹さんがあなたの漫画のファンで、ずっとサインが欲しがってたの。今朝、藤原航が彼の店に額装しに行ったとき、その絵を見てヤンがあなただと気づいて、だから昼に確かめようとしたのよ」