陣内美念はこれらのことを済ませると、急いで携帯を片付けた。
藤原航が三百億以上もの大金を使って島田香織の機嫌を取ろうとしているので、彼女はより一層、陸田健児と島田香織を引き合わせなければならなかった。
彼女が調べたところによると、陸田健児の家も裕福で、ただ本人が演技が好きで芸能界に入っただけだった。陸田健児のファンの言葉を借りれば、もし演技がうまくいかなければ、家に帰って財産を相続するだけだということだった。
「香織、陸田健児が来たわ。二人でゆっくり話してね。私は邪魔しないから」陣内美念は陸田健児が近づいてきた時、小声で言った。「チャンスを逃さないでね!」
陣内美念はそう言うと、振り向いて陸田健児を見て、目配せをしてから、ドレスの裾を持ち上げて立ち去った。
島田香織は、陣内美念が自分と陸田健児にすぐにでも結婚証明書を取得してほしいような様子を見て、困惑の表情を浮かべた。