藤原航は富田悠太に冷たい視線を送り、ワイングラスを持って別の場所へ向かった。
富田悠太は藤原航の背中を見送り、視線を島田香織に戻すと、顔から笑みが消え、ため息をつきながらワイングラスを手に島田香織の方へ歩み寄った。
富田悠太はワイングラスを陸田健児のグラスと軽く合わせ、島田香織の方を向いて褒め言葉を述べた。「島田お嬢様、今日は本当にお綺麗ですね!」
島田香織は表情から笑みが薄れ、丁寧に「ありがとうございます」と言い、陸田健児を見て「お話しください」と言った。
島田香織はそう言うと、すぐに立ち去った。
陸田健児はその様子を見て、島田香織の後を追おうとしたが、富田悠太に行く手を阻まれた。
「陸田若様、行かないでください。久しぶりですから、一緒に飲みながら昔話でもしませんか?」富田悠太は無邪気な笑顔を浮かべ、手にしたワイングラスを掲げ、本当に陸田健児と飲もうとしているかのようだった。