128 濡れ衣

「いいえ、ここは少しうるさいし、みんなが露骨に悪口を言うわけではないから、役立つものは録音できないと思うわ」島田香織は周りを見回しながら言った。「トイレに行ってみたら?意外な収穫があるかもしれないわ」

陣内美念は島田香織に賞賛の表情を向け、興奮して言った。「そうね、さっきもトイレで彼女たちの計画を聞いたわ」

「行ってらっしゃい」島田香織は陣内美念に微笑みかけた。

陣内美念は島田香織に投げキスとウインクを送り、興奮してスカートをつまみながらトイレへ向かった。

岡田家の庭園。

藤原航は海外の会社に仕事の指示をしていたところ、富田悠太が慌てて近づいてきたのを見て、静かにするよう手振りで示し、2分後に電話を切った。

富田悠太は藤原航が電話を切るのを見て、急いで言った。「藤原昭子が大変なことになりました!」

藤原航は冷ややかに携帯をポケットに戻し、淡々と言った。「何があった?」

富田悠太はホールで起きたことを詳しく説明した。

藤原航はそれを聞いて、表情が曇った。

安川市では、藤原家の令嬢に進んで喧嘩を売る者はほとんどいないはずだ。

藤原昭子がどんな性格かは彼が一番よく知っている。おそらく藤原昭子が誰かを陥れようとして、自業自得になったのだろう。

「今どこにいる?」藤原航は尋ねた。

「岡田家の人が休憩室に連れて行きました」富田悠太は答えた。

二人は岡田家の休憩室へ向かって歩き出した。到着すると、藤原昭子はすでに着替えを済ませ、泣きながら座っており、反町鈴音と富田玲の二人が傍らで慰めていた。

鈴村凛は藤原航が来たのを見て、目に光を宿し、すぐに慰めの言葉をかけた。「昭子、もう泣かないで。お兄さんが来たわ。きっと仕返しをしてくれるわよ!」

藤原昭子は泣きすぎて両目が腫れ上がっていた。彼女は目を上げて藤原航を見ると、悔しさで涙が止まらなくなり、大声で叫んだ。「お兄ちゃん、島田香織が私をいじめたの。もう人前に出られないわ、お兄ちゃん!」

藤原昭子が「島田香織」という名前を口にした時、藤原航と富田悠太の二人は固まった。

富田悠太は一瞬驚いて、藤原昭子を見つめ、「まさか、この件が彼女と何の関係があるんですか?」