133 藤原航に一目惚れして人生を誤る

島田香織は唇の端をわずかに上げ、少し考えてから「36、36」と言った。

陸田健児は島田香織の目を覆っていた手を離し、二人で座標を数えると、バスケットボールのシュートマシンが見えた。

島田香織はシュートマシンを見つめ、瞳が暗くなり、冷たい表情で「もう帰りたい」と言った。

島田香織はそう言うと、外へ向かって歩き出した。

陸田健児は島田香織の前に立ちはだかり、首を傾げて「嫌いなの?」と尋ねた。

島田香織は陸田健児を見上げ、軽く微笑んで「少し疲れたから、帰りたいの」と言った。

陸田健児が島田香織の頭を撫でようとした時、島田香織はそれを避けた。

陸田健児は何も言わず、笑顔を浮かべながら頷いて「わかった、送っていくよ」と言った。

帰り道の車内は、沈黙に包まれていた。

彼女のマンションに着いた時、陸田健児は車を止め、まだハンドルを握りながら島田香織の方を向いて、低い声で「僕に怒ってるなら、はっきり言ってくれていいよ」と言った。