134 スキャンダルの中心

藤原グループ。

藤原航は大きな窓の前に座り、外の往来を眺めながら、スマートフォンの画面を見つめていた。そこには、陸田健児が島田香織を王女様抱っこで岡田家の宴会場から連れ出す写真が映し出されていた。

藤原航は疲れた様子で鼻筋を摘み、スマートフォンの画面をちらりと見て、しばらく悩んだ末、静かに編集ボタンを押して、スタンプで陸田健児の顔を隠した。

翌日。

藤原昭子が岡田家の宴会で恥をかいた件は、すでに安川市中に広まっていた。一時的に彼女は安川市の話題の中心となっていた。

もちろん、誰も藤原昭子の前でその話をする勇気はなく、みな彼女の陰口を叩くだけだった。

藤原おじいさんは普段藤原家で過ごしているが、情報通で、すぐに昭子のドレスが裂けた件を知ることとなった。

藤原おじいさんはソファに座り、昭子をじっと見つめながら、厳しい表情で言った。「昭子、安心しなさい。この件は必ず徹底的に調査させます!」

藤原昭子は顔を青ざめさせた。おじいさんに調査されるのは怖かったので、慌てて言った。「おじいさん、兄さんがもう調べてくれています。」

彼女は心の中でよく分かっていた。おじいさんは以前、島田香織の社会的地位を考慮して、彼女に謝罪させたのに、今は林桃子に刺激されて、頭の中は香織と兄を結びつけることばかりで、今では香織をとても大切にしている。

もしおじいさんが、自分が島田香織に手を出そうとして失敗したことを知ったら、家族の制裁どころではすまないだろう。

藤原昭子は更に何度か不満げに話してから、やっと席を立った。

藤原おじいさんの言葉があったため、昭子は島田香織に手出しができず、不満を抱えながらベッドに寝転んでスマートフォンを触っていた。

昼頃になると、昭子は鈴村凛からメッセージを受け取り、一緒に食事に誘われた。

藤原昭子は簡単に身支度を整え、マスクをして外出した。食事の場所に着くと、鈴村凛と富田玲の二人がすでに待っていた。

「こっちこっち!」鈴村凛は急いで昭子に手を振り、昭子がこちらに向かってくるのを見て、やっと安心したように笑った。

藤原昭子はテーブルの側まで来ると、カバンを椅子に投げ出すように置き、二人の向かいに座って、物憂げなため息をついた。