135 第三者

藤原昭子が食卓に戻ると、鈴村凛と富田玲の二人がSNSを見ていた。彼女が座るや否や、鈴村凛の興奮した声が聞こえた。

「昭子、知ってる?島田香織がまた話題になってるわ。早く見て!」鈴村凛は言いながら、スマートフォンを藤原昭子の前に差し出した。

藤原昭子は疑問に思いながら鈴村凛を見て、スマートフォンを手に取り、自分が書いた記事を見て、口元に喜ばしい笑みを浮かべた。

漫画家ヤンが創作した『君に伝えたい』は、純粋な片思いの過程を描いた漫画で、少女たちの共感を呼び、絶賛されていた。

しかし、この漫画が島田香織の作品で、主人公が藤原航だと分かった時、この切ない恋愛漫画は笑い物になってしまった。

周知の通り、藤原航が最も愛しているのは林桃子で、島田香織は第三者として介入した人物だった。

藤原昭子はコメント欄で島田香織を罵る言葉を見ながら、特別な満足感を覚え、スマートフォンを鈴村凛に返しながら、笑顔で言った。「島田香織の黒い噂をもっと暴いてよ。みんな、そういうの大好きでしょ!」

鈴村凛は同意して頷き、にこやかに言った。「そうよ、徹底的に暴くべきよ。できれば島田香織の後ろにいるスポンサーも暴いちゃいましょう!」

「島田香織がこれを見たら、恥ずかしくて自殺しちゃうかしら?」

「あはははは!」

「あはははは!」

……

島田香織が自分が話題になっていることを知った時には、すでに世論が沸騰して3時間が経っていた。

お昼に世論が沸騰している時、島田香織は陣内美念と昼食を食べた後、映画を見に行っており、ネット上で起きていることを全く知らなかった。映画館を出た時、奈奈さんから電話を受けて、やっと何が起きたのかを知った。

「どうしたの?」陣内美念は島田香織の表情が良くないのを見て、心配そうに尋ねた。

「私がヤンだということがバレたの。」島田香織は言いながら、スマートフォンを陣内美念に渡し、眉をひそめて、「彼らは私のことを第三者だって言ってるわ。」

「あなたは全然第三者じゃないわ。林桃子は昏睡状態で植物人間になって、誰も彼女が目覚めるとは思っていなかったし、それに、あなたが藤原航のことを好きになったのは林桃子よりずっと前からよ!」陣内美念は言いながら、藤原航の顔を思い浮かべ、唇を固く結び、藤原航の顔面に一発パンチを食らわせたい衝動に駆られた。