受付嬢は心の中で大きな衝撃を受け、震えながら藤原航のフロアを告げた。
陣内美念は鋭い視線を引き戻し、怒りに燃えて藤原航のオフィスまで直行した。
「藤原、お前は男なのか!」陣内美念はドアを開け、冷たい表情で藤原航を見つめ、傍らの林楠見を完全に無視して、藤原航のデスクまで早足で歩み寄り、両手で机を強く叩いた。
オフィスの入り口には物珍しそうに見物人が集まっていた。安川市では藤原航の前でこれほど傲慢な態度を取れる人はほとんどいなかったからだ。
林楠見は入り口の人々を見て、急いで歩み寄りオフィスのドアを閉めた。本来なら外に出るつもりだったが、陣内美念が藤原航に手を出すのではないかと心配で、黙って入り口に立っていた。
「陣内さんが私のオフィスに無断で侵入するとは、随分と威勢がいいですね。ここはあなたが好き勝手できる場所ではありません。自ら退出しないのであれば、警備員を呼んで退去させますよ」藤原航は顔色を曇らせ、手元の書類に目を落としたまま言った。