157 起訴

奈奈さんも島田香織のパトロンが誰なのか分からず、今は彼女と連絡が取れないため、とりあえず従来通りの方法でホットサーチを削除し、残りの問題は後で対処するしかなかった。

「奈奈さん、ホットサーチが削除されました!」

「奈奈さん、ホットサーチがまた上がりました!」

「奈奈さん、島田社長と謎の男性の写真がまた何枚も出てきました!」

「奈奈さん、もうホットサーチが削除できません!」

……

島田香織は写真をちらりと見て手に取り、冷ややかな表情で一瞥した後、それを高橋邦弘の前に置いて言った。「高橋先生、今後パパラッチに写真を撮らせるなら、もう少し腕のいい人を探した方がいいですね。でないと、写真に写っているのが私だと誰が分かるでしょうか?」

高橋邦弘は信じられない様子で島田香織を見つめた。彼は島田香織が写真を見ても認めないとは思わなかった。彼に電話をかけてきた人物のことを思い出した。その人物は明確に言っていた。島田香織がパトロンに囲われているという事実を立証できれば、2億円を支払うと。

高橋邦弘は映画監督で、一年中苦労して働いても大した金は稼げない。彼はその2億円を何としても手に入れたかった。「でもあなたのファンなら、それがあなただと分かるはずです。」

葉山辰夫は焦って汗を流しながら立ち上がり、「高橋先生、そんな風に言わないでください。姉さんはそんな人じゃありません。姉さんは…」

島田香織は葉山辰夫の腕を軽く引っ張り、「そうですね。だって私ほどの美貌の持ち主はいないですからね」と言った。

そして、「島田香織のパトロン」というウェイボーの投稿は、第一位のホットサーチの位置を確実に維持していた。

葉山辰夫は島田香織のその言葉を聞いて、表情が急変し、少し離れた場所にいる監督の方を向いて大声で言った。「監督、ライブ配信を一旦止めませんか?」

しかし、コメント欄では【止めないで、止めないで】という書き込みが流れていた。

監督は複雑な表情で高橋邦弘を見つめ、さらに同情的な目で島田香織を見て、真剣な面持ちで言った。「今止めても意味がないよ。」

葉山辰夫は椅子に崩れるように座り込み、まるで見捨てられた子犬のような様子だった。

島田香織は葉山辰夫の落ち込んだ様子を見て、笑いながら慰めた。「辰夫くん、心配しないで。私は大丈夫だから。」