190 公の場に姿を現す

島田香織は陣内美念の視線の先を見て、楽しい気持ちが一瞬で消え去り、深いため息をつきながら、呆れて言った。「見なかったことにしましょう」

陣内美念は疑わしげに島田香織を見つめ、眉を上げて言った。「本当に？明日、あの二人があなたの写真を見つめていたことが、きっとトップニュースになるわよ。信じる？」

島田香織：……

陣内美念は近くにあったイチゴを島田香織の口に入れ、笑顔で言った。「他のお客様の接待をしましょう」

……

夜の8時、ほとんどのお客様が到着し、島田香織と陣内美念は舞台裏に向かった。

島田香織は島田根治と陣内美念の両親が話をしているのを見た。

島田根治は島田香織が入ってくるのを見ると、顔に優しい笑みを浮かべ、わが娘の成長を喜ぶような表情を見せた。

島田根治は島田香織の目の下のクマを見て、思わず心配になった。

彼は以前パーティーを開きたくなかったのは、島田香織に疲れて欲しくなかったからだ。「疲れているじゃないか。この二日間、ゆっくり休めなかったでしょう！」

「疲れてないわ、パパ」島田香織は島田根治の側に寄り、腕に手を回して、唇に笑みを浮かべながら甘えるように言った。

島田根治は何も言わなかった。島田香織が本当のことを言わないことを知っていたから。

パーティー会場のステージで、人気歌手が一曲歌い終わると、島田根治のスピーチの番となった。

江田景は島田香織の隣に立ち、横を向いて島田香織を見つめ、愛情に満ちた目で言った。「香織、心配しないで。どんなことがあっても、私とパパがあなたを守るわ」

島田香織は江田景の言葉を聞き、笑みを含んだ瞳を見つめ、目が少し赤くなりながら、甘えるように「ママ」と呼んだ。

江田景は微笑み、その後島田香織の手を取ってステージに上がった。

群衆の中で、藤原航は空色のドレスを着た島田香織がステージに上がるのを見つめ、世界の色が薄れていくかのように、彼の目には輝かしい島田香織しか映らなかった。

島田根治は江田景が島田香織を連れて自分の側に来るのを見て、正式に紹介を始めた。「こちらは私の娘、島田香織です！」

たった一言で、その場にいた全員が驚愕した。