島田香織は藤原航の言葉を聞きながら、なぜか藤原航が以前林杏を細やかに世話していたことを思い出し、以前の自分の弱々しさを思い出して、顔色が一瞬で暗くなった。
藤原航は椅子を見つけると、島田香織を座らせ、彼女の前にしゃがみ込んで、紳士的に彼女のハイヒールを脱がせ、ハート柄の絆創膏を取り出して、彼女の踵の擦れた部分に貼った。
この絆創膏はなぜこんなに見覚えがあるのだろう?
彼女はぼんやりと、誰かがハート柄の絆創膏を彼女の踵に貼ってくれたことを覚えているような気がしたが、その人の顔がはっきりと思い出せない。
間違いなければ、陸田健児が貼ってくれた絆創膏は普通の肌色のものだった。
島田香織は踵に絆創膏を貼ってくれた人が誰だったのか思い出せなかった。ただ、その後のパーティーでは毎回、藤原航が特別に用意してくれたドレスと靴を履いていたことを覚えている。不思議なことに、藤原航が送ってくれたハイヒールは一つも足が痛くならなかった。