彼女が立ち上がったとたん、足がふらつき、制御不能のように横に倒れかけた。
陸田健児は素早く島田香織を抱きとめ、抱き上げて寝室へと向かった。
「そんなに遠慮することないよ」陸田健児は真剣な表情で島田香織を見つめながら言った。「僕は見返りを求めてこれをしているわけじゃないから、気兼ねなく受け入れてくれていいんだ」
陸田健児のその言葉を聞いて、島田香織は顔を青ざめさせた。彼女は陸田健児を見つめながら、何年も前の自分を見ているような気がした。
「こんなことじゃ愛は手に入らないわ」島田香織は目を伏せながら、小声で言った。
彼女自身がそれを経験してきたからこそ、陸田健児に自分のような道を歩んでほしくなかった。
「それがどうしたの?」陸田健児は顔を下げて、島田香織に真剣な表情で尋ねた。