212 計略にはまる

島田香織が出て行くと同時に、鈴村秀美の携帯が鳴った。

鈴村秀美は目に不快感を浮かべた。藤原おじいさんが待ちきれずに電話してくるだろうと予想していた。

「うまくいったか?」電話の向こうから藤原おじいさんの不機嫌な声が聞こえた。

鈴村秀美は目を伏せ、物憂げな様子を装って、「お父様、申し訳ありません。私の不手際です。チャンスを掴めませんでした」

電話は一方的に切られた。

鈴村秀美は携帯を見つめ、バッグに入れて帰る準備をした。

島田香織は外に出て時計を見た。時間が経つのは早いもので、こんなにあっという間に30分が過ぎていた。

そのとき、島田香織はスーツを着た男性二人が女性を両側から引きずっているのを目撃した。

「離して!離して!私は行きたくない、枕営業なんてしたくない!」女性は号泣しながら必死に抵抗していた。スーツ姿は乱れ、シャツのボタンは外れそうで、スカートは短くなってパンティーが見えそうになっていた。