230 あなたと話がしたい

陣内美念は島田香織の側に寄り添い、香織の腕に手を回して、親しげに言った。「香織、私、私は本当に何も悪いことはしていないの。」

島田香織と陣内美念は幼い頃から一緒に育ってきた。香織が美念の隠し事に気付かないはずがなかった。

島田香織はじっとそこに座り、美念から目を離さなかった。

陣内美念は見つめられるにつれて、ますます心虚になり、黙って俯いた。

島田香織は自分でまた一杯注ぎ、一気に飲み干して言った。「このお酒、美味しいわね。」

陣内美念は真っ青な顔で香織を見つめ、おどおどと首を縮めて黙っていた。

「美念、本当に私に隠していることはないの?」島田香織は美念の顔をじっと見つめながら、さりげなく尋ねた。

陣内美念は泣きそうになった。最初の一杯の時は香織はまだ酔っていなかったかもしれないが、今は二杯目。酔夢の生は後から効いてくるのに、もう少ししたら、香織は……

「今日は機嫌がいいから、何でも正直に言いなさい。自首すれば寛大に処置するわよ!」島田香織は真剣な表情で美念を見つめ、にこやかに言った。

「いいこと?」陣内美念の目が急に輝き、話題を逸らそうとした。「どんないいこと?また儲かったの?」

島田香織は首を振った。なぜか頭が少し重く感じたが、気にも留めずに言った。「ただある人を懲らしめただけよ。」

陣内美念が何か言う前に、島田香織は眉を少し上げて続けた。「あなたも私に懲らしめられたいの?」

陣内美念はすぐに怯んで、少し困ったように言った。「香織、私はただお酒を間違えて持ってきただけなの。」

「お酒を間違えた?」島田香織はそれほど大したことではないと思い、また一杯注いで一口飲んだ。「大丈夫よ、美味しいわ。」

「これは夢の花じゃなくて」陣内美念は苦い顔をして、小声で言った。「酔夢の生なの。」

酔夢の生?

島田香織はその名前が気に入って、笑いながら言った。「このお酒、確かに美味しいわね。何本か私にくれてもいいわよ。」

陣内美念は香織がまだ気付いていないことを知り、諦めたように溜息をついて言った。「夢の花は度数が低くて、十杯以上飲んでも酔わないけど。でも酔夢の生は、基本的にワンナイトラブを考えている人が飲むお酒なの。」

既に二杯半の酔夢の生を飲んでいた島田香織は固まった。