232 私はあなたが好き!

島田香織は岡田雪が人違いをしているに違いないと思った。

藤原航のあの薄情な性格で、彼女を救うためにそんなにたくさんのことをするはずがない。

彼女と藤原航が本当に愛し合っているなんて、何を言っているの?

岡田雪は愛し合うということが何なのか分かっているの?

愛し合うというのは二人が互いに愛し合うこと。藤原航が彼女を愛している?

そんなことありえるの?

島田香織が曲がり角まで来て振り返ると、黄色い街灯の下で、藤原航は彼女をずっと見つめていた。

彼は彼女が見ているのを見て、薄い唇を上げ、目に笑みを浮かべた。

なぜか、島田香織は不思議な感覚を覚えた。彼も以前、こんな風に自分を見つめていたような気がした。

島田香織はすぐにそんな根拠のないことを頭から追い払った。突然、携帯が鳴り、陣内美念からの電話だった。