藤原おじいさんは思いもよらなかった。藤原航がこのようなことを言うなんて。島田香織は島田家の一人娘なのに。もし藤原航が島田香織と結婚すれば、島田家の財産も全て藤原家のものになるというのに。
藤原航は頭がおかしくなったのか?
まさに救いようのない劉阿斗だ。
もし彼の部下の別の者が島田香織に近づくのが難しくなければ、どうして島田香織と藤原航を一緒にさせようとするだろうか?
「私がやったことではないと言っているのに、なぜそんなに分からないんだ。私に逆らうために、島田香織と結婚したくないのか?」藤原おじいさんは頭痛がして、こめかみを押さえながら言った。「分かった。もしお前がどうしてもこれは私がやったことだと言いたいなら、そうだ、私がやったことにしよう。これでいいだろう?どうする?今から島田香織のところへ謝りに行くのか?」
藤原おじいさんは考えれば考えるほど腹が立った。最初から藤原航と島田香織の復縁なんか期待するんじゃなかった。今度また口を出したら、自分の頬を叩いてやる。「それに、お前は島田香織のところへ行かずに、なぜ私のところに来る?私がこれらのことをやったと認めたところで、島田香織はお前と復縁するのか?」
「陸田健児が島田香織をどうやって追いかけているか、見てないのか?あの男は島田香織のためなら何でもする。お前を見てみろ。島田香織を追いかけて何をした?そうだな、何もしていない」藤原おじいさんは言えば言うほど怒りが込み上げ、藤原航を追い出したい衝動に駆られた。「お前のような態度で島田香織を追いかけられるはずがない!」
「そうそう、お前は島田香織のために妹まで殴った。お前が島田香織のことを好きじゃないなんて、誰を騙そうというんだ?」藤原おじいさんは冷たい表情で詰問した。「お前は島田香織のために、何度も私のところに文句を言いに来た。今やお前の魂は完全に島田香織のところにある。それなのにまだ強情を張っている!」
「本当にできるなら、島田香織に言ってみろ。私の前でああだこうだ言うんじゃない!」藤原おじいさんはそう言うと、さらに表情を曇らせ、振り向きもせずに階段を上がって行った。
藤原おじいさんは心の中で考えた。あの人に手を打ってもらうしかないな。さもないと、島田香織という煮えた鴨が飛んでしまう!
居間には藤原航一人だけが残された。