263 嫌がらせ

奈奈さんは同意して頷き、きっと島田お嬢様が藤原おじいさんに会いたくないから、このような言い訳を考えたのだろうと確信した。

島田香織は微笑んで、奈奈さんに向かって言った。「わかったわ、行ってきて!」

島田香織はその場に座ったまま、外にいる藤原おじいさんを見つめていた。藤原おじいさんはまるで吸血鬼のようで、2時間も待たせるなんて、まだ序の口に過ぎないと思った。

藤原おじいさんが今日ここに来た目的を、島田香織はほぼ察していた。おそらく彼女と藤原航の再婚を望んでいるのだろう。

つい先ほど、江田景から電話があり、藤原おじいさんとの通話録音を送ってきたばかりだった。

島田香織はそれを聞いて、最初に思ったのは藤原おじいさんの厚かましさは城壁のようだということだった。

こんな時代なのに、まだ親の決めた縁談なんて考えているなんて。