島田香織はもう一歩後ずさりしようとしたが、車内のスペースはこれだけで、彼女の後ろはベッドだった。もう下がることはできず、奈奈さんがいつの間にか出て行ってしまっていた。
「早く化粧室に行きましょう。もう遅くなってきました」
陸田健児は笑顔で頷いた。昨夜は彼の撮影シーンがなく、工場の視察に先に行っていたが、藤原おじいさんが午後に島田香織を訪ねてくるとは思わなかった。
元々陸田健児は島田香織が藤原おじいさんにいじめられるのではないかと心配していたが、今日の彼女の様子を見て、もう心配する必要はないと分かった。
「お昼は何が食べたい?」陸田健児は笑顔で尋ねた。
「火鍋にしましょう」島田香織はウサギのクッションのことを考えて、今回は陸田健児を断らなかった。ただし、彼女は陸田健児をご馳走しなければならないと考えていた。「いいですか?」