271 自分の身を守って

陸田健児と島田香織は車の中に座っており、陸田健児は島田香織がキーホルダーを鍵に付けるのを見ながら、自分のキーホルダーを手に取って言った。「この二つの色、よく似合うね」

「うん、親友同士みたいね」島田香織は笑いながら言った。

陸田健児の笑顔が一瞬止まり、すぐに笑って言った。「男の親友から恋人になったケースも少なくないよ」

島田香織はもう何も言えなくなり、黙って鍵をバッグに戻して言った。「帰りましょう!」

彼女は陸田健児の厚かましさを甘く見ていた。

車を走らせて間もなく、突然「ドン」という音がして車が止まった。島田香織は携帯を見ようとして手から落としてしまい、体が前のめりになった。

幸いシートベルトをしていたし、陸田健児はいつの間にか彼女の肩を押さえていた。

島田香織が陸田健児の方を見ると、彼の先ほどの動作は反射的なものだったようだ。