285 あなたが幸せならそれでいい!

「島田香織じゃない!林桃子よ!」

前列に座っていた来賓の誰かが、そう叫んだ。

その時、スポットライトが林桃子の顔に当たっていた。

スクリーンにも林桃子の顔が映し出されていた。

「本当に林桃子だわ!今日、藤原社長と結婚する人が林桃子だなんて!」

「林桃子って藤原社長の初恋の人じゃない?」

「もしかして、この結婚式は藤原社長と林桃子の式なの?」

「なるほど、だから島田家の人があまり来てないのね」

会場は既に騒然となっていた。

花嫁は島田香織ではなかった。

この事実に会場の人々は驚き、陸田健児も驚いていた。ただ藤原航だけが静かに立っていた。

下で座っていた島田香織は、陸田健児が今回来るとは思ってもみなかった。

彼女は既にはっきりと言っていた。

藤原航とは絶対に結婚しないと。