藤原おじいさんは藤原航の顔色が良くないのを見て、彼も島田香織に腹を立てているのだと思い、口を開いた。「島田根治がメディアに話したことは知っているだろう。もし私の推測が間違っていなければ、昨夜の結婚式は島田家が我々藤原家に仕掛けた罠で、我々藤原家の面目を潰すためだったんだ!」
藤原おじいさんは茶碗を手に取って一口飲み、また置き直すと、「航、お前が島田香織のことを好きなのは分かっている。だが今は個人的な感情は脇に置かなければならない」と言った。
藤原航は藤原おじいさんの言葉を聞きながら、軽く目を上げた。
「島田香織は今、我々藤原家の面目を傷つけている。この件は、私は決して許すわけにはいかない。お前を呼んだのは、島田家にどう対抗するつもりかを聞きたかったからだ」藤原おじいさんは目を離さずに藤原航を見つめた。
藤原航はソファに座り、藤原おじいさんを見上げて、同意するように頷いた。「間違いを犯した者は確かに罰を受けるべきです」
藤原おじいさんは藤原航がこれほど素直なのを初めて見て、表情の厳しさも和らいだ。「それならよい。今すぐ島田家のすべてのプロジェクトを奪い取れ」
「あなたが以前島田香織を陥れた件について、島田香織も島田家も全て知っています」
藤原おじいさんは元々島田家への対抗策を考えることに頭がいっぱいだったが、藤原航の言葉を聞いて躊躇し、信じられない様子で藤原航を見た。
「何だと?彼らが私の島田香織への策略を知っているだと?」
藤原航は何も言わなかったが、藤原おじいさんにとってその態度は肯定に等しかった。
「そんなはずはない。私は慎重に事を運んだ。彼らが私の仕業だと知るはずがない」藤原おじいさんは頭の中で、一体どこに綻びがあったのかを考えていた。
「島田家が調べられないとでも思っているんですか?」藤原航は冷ややかに問い返した。
藤原航のその言葉を聞いて、藤原おじいさんはようやく気付いた。これまでは同じ立場の家としか渡り合わなかったから恐れることはなく、そういった相手には自分のしたことを突き止められなかった。
しかし島田家は藤原家より上位に立つ。島田家の情報網は当然より広いはずだ。
「たとえ彼らがそれを突き止めたとしても構わん。今や島田家は我々藤原家の面目を潰した。我々も島田家を決して楽にはさせない!」藤原おじいさんは陰鬱な表情で言った。