329 降参

藤原昭子の両足は更に激しく震え、彼女は必死に首を振った。今の彼女を救えるのは、藤原おじいさんだけだと分かっていた。

「おじいさん、私はやっていません!彼女の顔には何も問題がないでしょう!」藤原昭子は不満そうな表情で言った。

藤原おじいさんは目を細めて藤原昭子を見つめた。今朝早く、藤原昭子がスーツケースを引いて出ていこうとしたのは、明らかに後ろめたさがあって逃げ出そうとしていたのだ。

藤原おじいさんは、藤原昭子が絶対に認めないことを知っていた。冷たい表情で島田香織を見て、「証拠もないのに、人を誹謗中傷するとは、とんでもない話だ!島田家は本当にしつけがなっていない!」

「島田家のしつけは藤原おじいさんがご心配なさることではありません。ですが、藤原家のしつけこそ驚くべきものですね。上梁が歪めば下梁も歪むという言葉通りです。あなたがしてきたことは私たちみんな知っています。もしよろしければ、私が宣伝してあげましょうか?」島田香織は今日の天気でも話すかのように、にこやかに言った。

島田香織の一言一言が刃物のように藤原おじいさんの心臓を突き刺し、怒りで体が震えた。

「出て行け!出て行け!」

藤原おじいさんが言い終わるや否や、ボディーガードたちが一斉に取り囲んだ。

「誰も近づけさせない!」陸田健児が一歩前に出て、冷淡な目つきでボディーガードたちを一瞥すると、その冷たい視線に怯えて彼らは足を止めた。

陸田健児は顔を上げて藤原おじいさんを見つめ、美しい目に冷気を漂わせながら、「藤原おじいさん、あなたの部下が島田香織に指一本でも触れたら、藤原家が一年後に存在しているかどうか分かりませんよ」

藤原おじいさんは怒りで顔が真っ黒になった。長年の人生で、若い者に脅されるとは、何という屈辱だ!

しかし、藤原おじいさんは陸田家に逆らう勇気はなかった。陸田家も秘族であり、藤原家はすでに島田家の敵を作っている。もし島田家と陸田家が手を組めば、藤原家は本当に終わりだ。

それに、陸田健児は……

藤原おじいさんは目を細めて陸田健児を見つめ、もう何も言わなかった。

島田香織は横目で陸田健児を見た。藤原おじいさんがこれほど押さえ込まれるとは思わなかった。