349 頭痛

島田香織は自分で立ち上がり、足の怪我がまだ完全に治っていないため、ゆっくりと歩いた。

外の雪はそれほど大きくなかったが、島田香織が今外に出かけたら確実に病気になってしまうため、廊下を歩くしかなかった。

藤原航は島田香織に付き添って廊下の端まで歩き、そこには窓があり、外の夜景を見ることができた。

二人はそこに立ち、外を見つめていた。

島田香織は外を見ながら、ぼんやりと浜辺で誰かと一緒に嵐の夜の海を見ていた自分の姿を見たような気がした。

「あっ!」

島田香織は頭を抱え、顔には苦痛の色が浮かんでいた。

藤原航は島田香織のその様子を見て、心配そうに尋ねた。「どうしたんだ?」

「痛い、すごく痛い!」島田香織は震える声で言い、藤原航を見上げると、その目は一瞬にして虚ろになった。