355 賭け

島田香織が駆けつけた時、陣内美念が一人の男を抱きしめており、その周りには六人の男たちが取り囲んでいた。

島田香織は陣内美念の腕の中にいる男を見た。見た目は悪くないが、見覚えのない顔だった。

先頭に立つ男は島田香織に向かって手を差し出し、「島田お嬢様、初めまして。私はシンバと申します!」

島田香織は手を差し出さず、陣内美念の方へ歩み寄った。

シンバは島田香織が相手にしないのを見て、静かに手を引っ込め、顔に妖しい笑みを浮かべた。

陣内美念が無事なのを確認して安堵の息をつくと、シンバの方を振り返って、「シンバさんのお名前は面白いですね。忘れられないような」

「島田お嬢様に覚えていただけるなんて、光栄です」シンバは島田香織を見つめながら、誇らしげに言った。

島田香織と藤原航が目を合わせると、藤原航が前に出て尋ねた。「シンバさんが私たちをここに呼んだ理由は何でしょうか?」

シンバは藤原航の声を聞くと、眉を上げて興味深そうに彼を見つめた。「ああ、藤原社長ですか。こちらにお越しいただき光栄です」

「噂では藤原社長と島田お嬢様は犬猿の仲だと聞いていましたが、噂は当てにならないものですね」シンバは藤原航に近づきながら言った。「今夜は大きなスキャンダルが飛び出しそうですね!」

島田香織は眉をひそめて尋ねた。「シンバさんは私をここに呼んで何がしたいのですか?」

シンバは島田香織の言葉を聞くと、すぐに我に返って言った。「ああそうそう、話が逸れてしまいました。島田お嬢様は実に率直な方ですね」

藤原航は島田香織の側に寄った。

シンバは藤原航と島田香織の顔を交互に見ながら笑って言った。「お二人が並ぶと本当に絵になりますね。さて、本題に戻りましょう。実は今日の件は本来陣内さんとは無関係だったのですが、私たちが渡辺友生を懲らしめている時に、陣内さんが飛び込んできて、どうしても渡辺友生を助けると言い出したんです」

「陣内さんは潔い方で、その場でポーカーで勝負することになりました。約束では彼女が勝てば人を連れて帰れて、私も渡辺友生に手を出さない。でも負けた場合は...」シンバは得意げに笑って続けた。「ただ、陣内さんの運が悪くて、三回連続で負けてしまったんです!」