「島田お嬢様、先に申し上げておきたいことがあります」シンバはすぐにカードを引かず、島田香織から目を離さずに言った。「契約書にサインしていただきたいのですが、後で約束を反故にされては困りますし、お互いの時間の無駄になってしまいますから」
そう言うと、誰かが島田香織の前に契約書を差し出した。
島田香織と藤原航は素早く目を通し、お互いに顔を見合わせた。二人ともシンバが罠を仕掛けていることを完全に理解した。
島田香織はシンバを見つめ、口角を上げながら微笑んだ。「シンバさんがこれほど私を評価してくださり、協力したいとおっしゃるなんて、思いもよりませんでした」
「島田お嬢様が私の作品に出演してくださるなら、この上ない光栄です」シンバは笑みを浮かべながら島田香織を見つめた。