357 再会

帰り道は藤原航が運転していた。赤信号で車を止めた時、藤原航は目に好奇心を浮かべながら尋ねた。「どうやって彼がイカサマをしていたのか、どうして分かったの?」

島田香織は隠さずに、すべてを話した。「以前イカサマの動画を研究したことがあって、シンバのやり方は本当に古臭くて、もう使う人はほとんどいないと思う。彼はカードに印をつけていたけど、私がカードを確認した時、触っただけですぐに分かったわ」

島田香織がそう言った時、目には軽蔑の色が浮かんでいた。しかも彼女だけでなく、鈍感な陣内美念でさえ気付いていた。

シンバがこんな手口で勝負しようとしたなんて、本当に厚かましい限りだった。

マンションの下に着くと、藤原航は車から降りて、島田香織を見つめながら言った。「僕は今、帰る家がないんだ」