361 泥棒

アンナは満足そうな笑みを浮かべた。

島田香織は傍らに立ち、陸田健児のその様子を見ながら、以前の彼が自分にもこんな風だったことを思い出した。

陸田健児はやっぱり誰にでも優しいプレイボーイだわ!

島田香織が立ち去ろうとした時、アンナの体から漂う匂いに気づき、瞳に一瞬の驚きが走ったが、すぐに消えた。「お話を続けて。私は用事があるので、先に失礼します」

話しながら、島田香織はアンナとすれ違った。

アンナの体からの匂いはより強くなっていた。それは媚薬の匂いだった。

島田香織は心の中で不思議に思った。以前アンナの体からは媚薬の匂いがしなかったのに、今はある。しかも服も着替えていないのに。

しかし、島田香織が遠くへ行く前に、リンダが険しい顔で近づいてきた。

「島田お嬢様、お話があります」リンダは冷たい表情で島田香織を見つめ、怒りを込めて言った。