第360章 策略

島田香織は以前この香りを嗅いだことがあった。藤原航と初めて一緒に過ごした夜、この香りを感じたのだ。

その後、藤原航と一緒にコーヒーショップの個室に閉じ込められた時も、同じ香りを嗅いだ。

誰が彼女を陥れようとしているのか?

こんな卑劣な手段を使うなんて。

なんて陰険な策略!

もし外にいる時に長時間この香りを嗅いでいたら、薬が効いてきて、その時には熱くて苦しくなって、ひょっとしたら人前で服を脱いで恥をかくところだった!

島田香織は服を手に取り、横で払ってみると、灰色のタイル床に粉が落ちた。彼女の表情は一層暗くなった。

ドライヤーをドレスに向けて吹きかけると、さらに多くの粉が飛び散った。

島田香織はバッグから薬を取り出した。これは以前特別に作らせた清心鎮靜丸で、これを飲めば薬の粉の影響を受けないはずだった。